前回は、『肘下がり』について、「てるクリニック」院長の照屋先生と同クリニック理学療法士である玉城が説明しましたが、今回はその続きです。
前回でも出てきましたが、『肘下がり』の定義とは、右投げの場合、左足を上げ、その左足が前についたときから、右の前腕が一番床に水平に近づくところにて、両肩を結んだラインよりも肘の高さが上がらないフォームを指します。『肘下がり』の要因の一つに、テイクバック(専門用語ではCocking Fhase)の時に、肩甲骨が脊柱に近づく動き(専門用語では”肩甲骨の内転”)が起こりにくくなっていることがあるとお話しました。
では、右の肩甲骨の内転がなんで起こりにくくなるのかのいくつかの要因をお話したいと思います。肩甲骨の内転という動きは肩甲骨が背骨(脊柱)に近づく動きのことを指します。背中が丸まったままだと脊柱が前へ曲がり、頭と両肩が前に出て肩甲骨は外側へと引っ張られてしまいます。逆に背中を反らす姿勢では脊柱が後ろへ曲がり、頭部と両肩が後ろへ引けるため肩甲骨の内転が起こりやすくなります。どちらの姿勢でも一つの姿勢に固まることでいいことではありませんが、普段何気なく座っている時に背中が丸まったままの姿勢をとり続けると、脊柱の伸びるような動きがしにくくなることがあるため、肩甲骨の内転しにくくなります。なので、丸くなったままの姿勢にて投球動作を行うとテイクバック時に肩甲骨の内転が起こりにくくなり、投球時の『肘下がり』に繋がり、肘に負担に負担をかけやすくなってしまいます。
一度や二度では肘が故障するところまではいかないかもしれませんが、それが繰り返されることによって、肘の障害に繋がることが考えられます。
例えば、高校生やデスクワークが多い方の場合、1日も何時間も丸まって座っていることで、肩甲骨は内側へいきにくくなり(肩甲骨の内転がしにくくなり)、投球時のテイクバックにも悪影響を及ぼす可能性があります。
学生などでテスト期間で部活が1週間程度休みになり、その復帰直後に肘が痛くなったり、調子が狂う選手もいます。その場合、テスト期間で普段よりも勉強しなくてはいけないため、長時間の座位を取り、かつ丸くなったままの姿勢を続けたため、その影響で投球動作への不調に繋がる選手もいます。
背筋が伸びすぎているのも異なる問題を引き起こす可能性がありますが、背中が丸まっている姿勢で固まり、動きにくくなることで、上記のような問題を引き起こす可能性があります。
定期的な体操にて予防することは可能ですので、ぜひ行ってみてください。
その予防として、猫背のような姿勢になりやすい方は、勉強やデスクワークなどで座位姿勢が長くなった際に、
①背伸びをしたり、②背伸びをしたまま左右に伸びたり、③手を後ろに回して肩甲骨を内側に寄せるように動きにてリセットすることをおすすめしています。
他にも人に合わせて運動を多種多様に渡りますが、少しずつ紹介していきたいと思います。これらの運動を行なった際に普段経験しないような痛みを伴う場合は中止し様子を見てください。
てるクリニック
理学療法士 玉城潤